【2018年7月16日発効】GoogleMapAPI(有料)が表示されない場合の原因と対策

GoogleMapAPI

GoogleMapsPlatformの新料金体制が2018年7月16日に適用開始されました!

2018年5月3日頃より「GoogleMapsPlatformの新料金体制が2018年6月11に開始される」とGoogleが公式にアナウンスし、後に「7月16日まで延期」のアナウンスもしていました。

それが7月17日に、GoogleMapAPIを使用している私のgmailアカウントに、

6月4日に発表したとおり、新しい価格設定と利用規約が今日発効しました。

というメールが届きました。

Set up your billing account to receive free customer support

無料のカスタマーサポートを受けるには、請求先アカウントを設定してください

こんにちは、

次世代のGoogle MapsビジネスであるGoogle Maps Platformへようこそ。 グローバルなカバレッジ、正確なリアルタイムデータ、スケーラブルなインフラストラクチャがビジネスにどのように役立つかについては、新しいWebサイトをご覧ください。

6月4日に発表したとおり、新しい価格設定と利用規約が今日発効しました。

これは私にとってどういう意味ですか?

使用状況が現在のレベルにとどまっている場合は、無料でMaps、Routes、およびPlacesを引き続き使用できます。現在の使用率は、毎月200ドルの無料クレジットによってカバーされます。

今、請求先アカウントを設定すると、24時間無料のGoogleカスタマーサポートが無料で利用できます。 課金アカウントを追加することで、使用量が増えた場合でも、プロジェクトでサービスが中断されることはありません。 下の[今すぐ開始]ボタンをクリックしてアカウントに請求情報を追加してください。

今すぐ始めましょう
Google Maps Platformをご利用いただきありがとうございます。

これにより(この内容が事実であれば)、7月16日に正式にGoogleMapsPlatformの新料金体制が開始されたことになります。(今なら24時間無料のGoogleカスタマーサポートが利用できるようですね。)

ただ、気になるのは、

-課金アカウントを追加することで、使用量が増えた場合でも- -サービスが中断されることはありません。-

という部分。

まるで課金アカウントが作成されていないことを前提とした記述であると読めなくもありません。

従来の説明では、課金アカウントを作成しないと、そもそもGoogleMapAPIが使えない(エラーか非表示になる)と理解していたのですが、「使用量が増えないならば、課金アカウントを作成(クレジットカード登録)しなくても使える」のではないかと。使用料というのは、毎月$200(約20,000円)の無料クレジットのことを指しているのでしょう。つまり、毎月$200の範囲内であれば、課金アカウントを作成しなくてもGoogleMapAPIを使用可能と考えられます。

まとめ

  • 2018年7月16日にGoogleMapsPlatformの有料化が正式に開始された
  • 毎月$200(約20,000円)の無料クレジット枠の範囲内であれば、課金アカウントを作成しなくてもGoogleMapAPIを使用できる
  • 無料クレジット枠を超えて使用する場合は、課金アカウントを作成しなければならない

2018年6月11日以降、GoogleMapsAPIの料金体系が変更されます

2018年5月3日、Google公式より、GoogleMapsAPIを使用しているGoogleアカウントのメールアドレス宛に、GoogleMapsAPIの料金体系が変更されるアナウンスのメールが配信されました。

2018年6月11日以降GoogleMapsAPIによる地図・ジオコーディング等の表示されなくなった場合には、この記事を参考に解決して下さい。

GoogleからのGoogleMaps料金体系変更メール
2018年5月3日付、GoogleMaps料金体系変更メール(原文)

内容的には、

  • 2018年6月11日以降は、課金アカウントを作成しなければ(APIを使用した)GoogleMapsは原則として表示されなくなる
  • 2018年6月11日以降、正常に表示させるためには、課金アカウントとAPIキーを使用しているプロジェクトとを関連付けなければならない。
  • 2018年6月11日以降、課金アカウントには、毎月$200の無料クレジット枠が与えられる。

ことが記載されています。

しかし、です。そもそもAPIキーが無くてもGoogleMapsAPIが正常に動作しているサイトが現にあること(私が運営しているサイトもAPIキーが無い※のにちゃんと動作しています)に着目し、もしかしたらAPIキーが無くても、問題ないのではないか?と思い、Googleマップヘルプフォーラムで同様の質問をしてみました。

が、2人のエキスパートから『2018年6月11日以降はAPIキーが必須になる。』との回答がありました。

※例)http://maps.googleapis.com/maps/api/js?sensor=fals=places

実際のところは分かりません(もしかしたらAPIキーが無くても動くのかもしれません)が、原則的には、やはりAPIキーが必須になると考えた方が良さそうです。

また、Googleからのメールには、現在APIキーを使用しているプロジェクトにおいて、過去3ヶ月間の使用状況から新料金体系で計算した場合「どのくらいの料金が発生し得るか」の見積もり額が併せて記載されています。

GoogleからのGoogleMaps料金体系変更メールの英語原文と日本語翻訳文
英語原文と日本語翻訳文

これにより、GoogleMapsAPIの使用によって想定される料金発生額を、ある程度知ることができるという訳です。

ちなみに、メール文中には「coupon」のリンクがありますが、このcouponのリンクから課金アカウントを登録すると$50(約5,000円)分の無料クーポンがもらえます。

課金アカウント登録の$50クーポン
「coupon」リンク先の画面

課金アカウントとは

本ページで言及している課金アカウントとは、Google Cloud Platform(GCP)という、Googleがクラウド上で提供している各種サービスの(料金が発生した場合の)請求先となるアカウント情報のことです。

Google Cloud Platform のサービスの1つに、GoogleMapsAPI の機能を提供しているGoogleMapsPlatformがありますが、2018年6月11以降にGoogleMapsAPIを使用する際は、必ずAPIキーを発行しなければならず、かつ課金アカウントを登録し、プロジェクト(APIキー)と紐付けなければなりません。

課金アカウントの作成手順は、次の記事を参考にして下さい。

課金アカウント作成手順 課金アカウントを作成する手順は下記の通りです。 既存ユーザー用ガイドページの「移行ツール」ボタンを押す。...

料金請求に関して

不安なのが、請求に関して予期しない額の請求額とならないかどうかだと思います。GoogleCloudPlatformコンソール画面では、事前に使用上限を設定するなど様々なメニューが用意されています。

要点は3つ。

  • 予期しない使用料金の増加に備え、1日あたりの使用リクエスト回数の割り当てを設定できる。
  • 使用料金が事前に設定した値に達したとき、通知メールが届くように設定できる。
  • 請求が発生した場合、請求書を指定のメールアドレスで受信できる。

Google公式価格と請求に関する変更ページ

毎月$200(約20,000円)の無料クレジットについて

毎月の無料クレジットですが、これは毎月$200(約20,000円)迄ならば、GoogleMapsAPIの使用料から差し引くことができる毎月の無料枠のことです。

一定回数以下のGoogleMapsAPIの使用ならば実質無料で使えることになり、換言すれば、毎月20,000円分の無料枠を超える部分について支払いの義務が生じることになります。

複数の課金アカウントを作成すれば、複数の課金アカウント毎に毎月$200(約20,000円)の無料クレジットが付与される?

これは誰もがパッと思いつくことではないでしょうか。

1つの課金アカウントで全てのAPIキーを管理すると、毎月$200(約20,000円)の無料クレジット枠を超えてしまう場合に、課金アカウントを複数に分けることにより、複数の$200(約20,000円)/月の無料クレジットが与えられ、全て無料クレジット枠の上限内に収まるのではないか、と。(課金アカウントを分ければ、それだけAPIキーの使用回数も分散する。)

これに対する回答は2つあります。

1つはGoogleMapsPlatform規約違反?

もう1つは「請求先アカウント毎に無料枠が設定される」です。

GoogleMapsPlatform規約違反

こちらは英語での質問~回答文なのですが、(質問時に)日本語を英語訳したものを質問文として使用しました。回答は当然全部英文でしたので、英語の回答文をGoogle翻訳で日本語訳したものをキャプチャしています。

Googleからの「規約違反」との回答文(英語)

6月11日からのサービス利用規約に違反しています。

とあります。

理由としては、

GoogleMapsPlatformの利用規約、3.2.3サービスの利用条件に規定されている(e)の項目に該当する

ため、とあります。

3.2.3の規定は、「ユーザーが料金支払いを避けるため、複数の課金アカウントを作成し無料クレジット枠を増やすと、Googleサービスの正確な計測を妨げる恐れがある。」と。

一言で表すと「無料サービスの権利濫用」にあたるから、だと思います。

請求先アカウント毎に無料枠が設定される

一方、日本Google公式ヘルプ、及びGoogle英語ヘルプからの回答メールには「請求先アカウント毎に無料枠が設定される」とあります。

GoogleCloudPlatformからの回答

また、Google英語ヘルプへ投げ掛けたの下記質問に関して、

3つの質問があります。

1)
課金アカウント毎に毎月$200の無料クレジットが与えられますか?

2)
1つのGoogleアカウントから課金アカウントを複数作成し、
複数の毎月$200の無料クレジットを取得して使用することに、
何か問題はありますか?

3)
1つのGoogleアカウントから複数の課金アカウントを作成する際、
同じクレジットカードを登録することは可能ですか。

ご回答をよろしくお願い致します。

これに対するGoogle英語ヘルプからの回答は、

複数の課金アカウントを作成することは問題ない

答えは「はい」です。

と、1)3)の質問内容を全般的に肯定しているように解釈できます。

日本Google公式ヘルプからの回答も、複数の毎月$200の無料クレジットを取得してサイト運用することについては、

複数の毎月$200の無料クレジットを取得してサイト運用することは問題ない。

問題ありません。

と、やはり複数の$200無料クレジットを取得しても「問題ない」とのことです。

※プロジェクトに関しては、Google英語ヘルプの方は「5つまで作成可能」、これに対してGoogle日本ヘルプの方は、「いくつでも作成できます。」と答えが異なりますが、正直ここはよく分かりません。実際にプロジェクトを作成して紐付けてみるのが確実かもしれませんね。

話が逸れましたが、複数の課金アカウントを作成し、毎月$200の無料クレジットを複数使用する件、

正反対の回答ですが、一体どちらが正しいのでしょうか?

恐らくどちらも正しいのではないかと思います。

つまり、実際にはシステム上、課金アカウント毎に$200/月の無料クレジットが付与されるけれども、複数課金アカウントを作成し無料枠を増やすことで料金支払いを免れるような行為は、Google規約違反になると。

いずれにせよ、1つの課金アカウントで管理する方が、規約違反とならないためには無難ですね。

課金アカウントは1つのクレジットカードで複数作成可能

課金アカウントは1つのクレジットカードで複数作成することが可能です。

ただし、Google英語ヘルプからの回答の通り、一般的に起こり得る例として、もしその1つのクレジットカードが解約や上限額などで支払い不能に陥った場合は、関連付けられている全てのプロジェクトで料金支払い不可になるということです。

リスクは高いが、1つクレジットカードで複数の課金アカウントを作成可能リスクが1つに集中するという意味での注意が必要。

初年度のみ$300(約30,000円)の無料クレジットについて

別途、Google Cloud Platformの課金アカウント登録時に$300分の無料クレジット枠が与えられるようです。

GoogleMapsAPIの料金表

2018年6月11日以降の、GoogleMapsAPIの料金表は下記の通りです。参考になるよう、掲載しておきます。

マップの料金表

マップの料金表

経路の料金

経路の料金

場所の料金

場所の料金

請求書について

APIの使用により料金が発生した場合は、どのように請求がされるのでしょうか。

請求書

請求が発生しますと、このような請求書面がPDFで発行されます。請求の集計期間は1日~末日で、翌月の2日までに請求が登録されているメールアドレス宛に来ることになります。

【2018年6月4日追記】

新たな日本のGoogle公式ヘルプからの回答ですが、内容的には($200の無料枠目的の)複数課金アカウント運用は、利用規約3.2.4(e)に違反しているということのようです。前述のGoogle英語公式ヘルプと同様の見解を示していますね。程度の問題もあるかも知れませんが、利用規約を守るなら、やはり1つの課金アカウントで全てのkeyを管理すべき、ということになるかと思います。

複数課金アカウント運用は利用規約3.2.4(e)違反の可能性がある
※利用規約3.2.4(e)は「顧客のサービス使用レベルを正確に計測することを妨げる」の項目となります。

結論【2018年6月12日時点】

2018年6月12日時点の結論は「新料金体制後の2018年6月12日を迎えても、2018年6月11日以前のGoogleMapAPIの仕様と何も変わりが無い」ということです。

実証結果【2018年6月12日時点】

私が管理している数十のサイトで、APIkeyの有る無しなど色々なパターンを試して実際に確認してみました。

その実証結果は下記の通りです。

  • 2018年6月12日時点において、APIkeyが無くてもGoogleMapAPIが動作するサイトがあった
  • 2018年6月12日時点において、APIkeyが無いとGoogleMapAPIが動作しないサイトがあった
  • 2018年6月12日時点において、APIkeyが無いと動作しないサイトであっても、課金アカウントに紐付いているプロジェクトであれば正常に動作する(当然)
  • 2018年6月12日時点において、APIkeyが無いと動作しないサイトは、課金アカウントに紐付いていないプロジェクトであっても正常に動作する(想定外)

共通点

上記の共通点としては、元々APIキーが使用されていないサイトの場合には、引き続きAPIキーを使用しなくても正常に動作するということです。(Googleの新料金体制の事前アナウンスとは異なる)

また、元々APIキーが使用されていたサイトの場合には、課金アカウントに紐付いていないプロジェクトであっても正常に動作するということです。(こちらもGoogleの事前アナウンスとは異なる)

結局、2018年6月12日時点においては2018年6月11日以降の新料金体制後でも、2018年6月11日以前のGoogleMapAPIの仕様と何も変わりが無いということになります。

もちろん、いづれは新料金体制への完全な移行が進む流れだとは思います。

ただGoogleも、必ずしも新料金体制への準備が万全でないウェブ制作会社などが多い中で、現時点で一律に実施すると混乱と反発が大きいことは容易に予想されるため、Googleが今後どのような対応を取るのかしばらく注目です。

以上、2018年6月11日から始まるGoogleMapsAPIの新料金体制についての内容でした。

ぜひ、参考にして頂ければと思います。

【2018年6月12日追記】新GoogleMapsPlatformの適用開始は2018年7月16日に延期

2018年5月3日頃よりGoogleの公式発表として、2018年6月11にGoogleMapsPlatformの新料金体制が適用されるとアナウンスされてきましたが、最新の発表では新GoogleMapsPlatformの適用開始は2018年7月16日に延期することが分かりました。

Google Cloud Japan公式ブログ

なお、新しい利用規約と料金体系が有効になるのは 7月16日以降を予定しています。

ということですから、これまでのアナウンスはいわば移行への準備期間として設けられたものと言えそうです。

一旦は延期となりましたが、GoogleMapsAPIのkey必須や有料化(クレジットカード登録必須)の混乱を最小限にするための、移行へのソフトランディングを目的とした延期は、今後も(7月16日以降も)可能性としては有り得るのではないでしょうか。

これを受け、GoogleMapsAPIの使用ベンダーでもあるZENRIN DataComも7月16日以降に延期になった旨発表しています。

また、ゼンリン以外の他のベンダーでも、同様のコメントや発表を行なっています。

ZENRIN DataCom

【重要なお知らせ】
Google Maps Platformの適用開始について、6/11(PST)から7/16(PST)に延期となりました。 延期に伴い、7/16(PST)までは従来のルールが適用されます。※ただし、6/11から有効なAPIキーをご利用でない場合、地図利用ができなくなる可能性がございます。

上記の実施延期の知らせの通り、7月16日までは現状維持という形になりました。

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